税務の片隅で。

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zoom RSS 参院選の結果を受けて(朝日対読売・社説読み比べ)

<<   作成日時 : 2007/07/30 14:47   >>

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まず、朝日新聞社説から。
 安倍首相は昨秋の就任以来、この参院選での勝利に狙いを定めて、さまざまな手立てを講じてきた。有権者はその実績に対して、はっきりと「不合格」の審判を下した。

 しかし、首相は結果を厳粛に受け止めるとしながらも「私の国づくりはスタートしたばかり。これからも首相として責任を果たしたい」と述べ、政権にとどまる意向を表明した。まったく理解に苦しむ判断だ。

 ●民意に背く続投表明

 さすがに自民党内にも首相の責任を問う声が出ている。すんなりと続投が受け入れられるとは思えない。首相はもっと真剣に今回の結果を受け止め、潔く首相の座を退くべきである。

 それにしても、すさまじい惨敗ぶりだ。自民党は30議席台へ激減し、ライバル民主党に大きく水をあけられた。非改選議席を加えても、民主党に第1党を奪われた。1955年の自民党結党以来、第1党の座を滑り落ちたのは初めてだ。「政権を選ぶ衆院選とは違う」というには、あまりに度を超えた敗北だ。

 公明党も後退し、与党全体で過半数を大きく割り込んだ。与党は衆院で7割の議席を押さえているものの、参院での与野党逆転はこれまでの国会の進め方を根本的に変えることになるだろう。

 全国で、安倍自民党に対する「ノー」の声が渦巻いた。

 「自民王国」のはずだった地方の1人区でばたばたと議席を失い、参院自民党の実力者、片山虎之助幹事長まで落選した。2年前の郵政総選挙で小泉自民党が席巻した大都市部でも、東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知で民主党が次々に2人当選を果たした。

 2年前、自民党を大勝させた無党派層が、今度は一気に民主党に動いたのだ。自民支持層のかなりの部分が野党に流れたのは、政権批判の強さを物語る。

 衝撃は自民党内に広がっている。中川秀直幹事長や青木幹雄参院議員会長は辞任する。それでも首相が続投するとなれば、世論の厳しい反応が予想される。

 まして、与野党が逆転した参院を抱え、これからの政局運営や国会審議は格段に難しくなるはずだ。参院で安倍首相らへの問責決議案が出されれば通るのは確実な勢力図だし、混乱と停滞は避けられないのではないか。

 ●1人区の怒り、深刻

 敗北の直接の引き金になったのは、年金記録のずさんな管理に対する国民の怒りだった。さらに、自殺した松岡前農水相や後任の赤城農水相らの「政治とカネ」の問題、久間前防衛相らの暴言、失言の連発が追い打ちをかけた。

 首相にとっては、不運の積み重なりだったと言うこともできる。だが、ひとつひとつの問題の処理を誤り、傷口を広げたのはまさに首相自身だった。

 年金では「浮いたり、消えたり」した支払い記録の不備が次々と明らかになり、後手後手の対応に追われた。政治資金の問題も、松岡氏をかばい続けて自殺という結果を招き、後任に起用した赤城氏にも同じような疑惑が発覚。総裁選での論功や自分の仲間を重視する人事の甘さが次々に浮かび上がってしまった。

 その一方で、国会では数を頼みに採決強行の連続。うんざりだ、いい加減にしろ……。広がったのは安倍氏への同情や共感より、安倍政治への基本的な不信ではなかったか。

 選挙結果で注目すべきは、とくに1人区で自民党が不振を極めたことだ。地方の経済が疲弊する一方で、高齢者ばかりの町や村が増える。人々の不安と不満が膨らんでいるのに、自公政権は本気で取り組んでくれない。そうした思いが底流にあると見るべきだ。

 都市で集めた税金を、公共事業などを通じて地方に再配分する。良くも悪くも自民党政治を支えてきたメカニズムだ。それが終わりを告げたのに、代わりの方策が見つからないのだ。

 ●優先課題を見誤った

 地方の疲弊に象徴される格差への国民の不満、将来への不安は、都市住民や若い世代にも共通するものだ。とりわけ弱者の暮らしや安心をどう支えるのか。これこそが、小泉改革を引き継いだ首相が第一に取り組むべき課題だった。

 ところが、首相が持ち出したのは「美しい国」であり、「戦後レジームからの脱却」だった。憲法改正のための国民投票法をつくり、教育基本法を改正し、防衛庁を省に昇格させた。こうした実績を見てほしい、と胸を張ってみせた。

 有権者にはそれぞれ賛否のある課題だろう。だが、それらはいまの政治が取り組むべき最優先課題なのか。そんな違和感が積もり積もっていたことは、世論調査などにも表れていた。

 自民党は成長重視の政策などを打ち出し、実際、景気は拡大基調にある。なのになぜ負けたのか、真剣に分析すべきなのに、首相が「基本路線には(国民の)ご理解をいただいている」と政策継続の構えを見せているのは解せない。

 政治はこれから激動の時代に入る。与野党に求められるのは、衆参で多数派がねじれるという状況の中で、対立だけでなく、お互いの合意をどうつくり、政治を前に進めていくかの努力だ。

 自民党は、これまでのような強引な国会運営はやりたくてもできない。だが、民主党もいたずらに与党の足を引っ張るだけなら、次は国民の失望が自分たちに向かうことを知るべきだ。

 そんな新しい緊張感にあふれる国会を実現するためにも、首相は一日も早く自らの進退にけじめをつける必要がある。
(朝日新聞より)


次に、読売新聞より
 「歴史的」な参院選の結果である。1955年の保守合同後、参院で初めて野党が第1党となった。

 続投を表明した安倍首相の政権運営や国会のあり方などに大きな影響を及ぼすのは必至だ。日本の政治構造の変動につながる可能性もある。

 自民党が惨敗し、公明党も不振だった結果、与党は過半数を割った。民主党は大躍進し、第1党に躍り出た。

 民主党には、年金記録漏れや不明朗な事務所費処理、閣僚の軽率な問題発言など、政府・与党の“失策”に対する有権者の批判が追い風となった。

 ◆民主党の責任は重い

 景気拡大の実感がないとする地方や労働者などに根強い「格差」への不満も、安倍政権や与党への批判につながったようだ。建設業、農業、郵便局など、自民党の伝統的な組織基盤が揺らぐ1人区に焦点を当てた小沢代表の選挙戦術も奏功したのだろう。

 衆院で与党、参院で野党がそれぞれ過半数を占めるという衆参“ねじれ”現象にあって、参院第1党として、参院運営の主導権を握ることになる民主党の責任は、極めて重い。

 小沢代表はかねて、参院での与党過半数割れの実現を通じて政権交代を目指す、と主張している。政界再編も視野に入れて、政府・与党を衆院解散に追い込む狙いだろう。

 衆院で可決された政府・与党の法案が送付されても、参院で否決や修正が出来る。野党が参院に法案を提出、可決して衆院に送付し、政府・与党を揺さぶることも可能になる。首相や閣僚の問責決議案を可決することも難しいことではあるまい。

 こうしたことが常態化すれば、国政の混迷は避けられない。

 ◆政策の遂行が重要だ

 衆院で3分の2を超える勢力を確保する与党は、参院で否決された法案を再可決し、成立させることが出来るが、現実には容易なことではない。

 懸念されるのは、内外の重要政策推進への影響である。

 例えば、年金・医療・介護など社会保障制度を安定させるための財源としての消費税率引き上げを含めた税財政改革である。

 野党はいずれも消費税率引き上げに反対だが、いたずらに対立するだけでは、安定した社会保障制度構築の展望を早期に開くことが困難になる。

 米軍再編問題も、野党は、沖縄県の米海兵隊普天間飛行場の移設に、どう取り組むのか。米軍再編推進特措法に反対した民主党の対応によっては、北朝鮮の核の深刻な脅威の下にある日本の平和と安全にとって死活的に重要な日米同盟の信頼を損ないかねない。

 テロ対策特措法の延長問題も、民主党が反対して延長出来ないとなれば、日本は国際平和活動に消極的な国と見なされ、国際社会での発言権の低下を招く恐れがある。

 そうした事態が現実になれば、二院制のあり方や参院の存在意義にも、大きな疑問符を付けられるだろう。

 日本が直面する内外の重要課題を考えれば、民主党は、政略のみに走るのではなく、責任政党としての姿勢をしっかり保つことが重要である。

 自民党の惨敗は、多様な要因が複合した逆風の結果だろう。

 年金記録漏れ問題は、年金行政への不信を生んだ。

 辞任した佐田玄一郎行政改革相や、自殺した松岡利勝農相と後任の赤城農相らの不明朗な事務所費の処理は、「政治とカネ」への疑念を招いた。

 久間章生防衛相が辞任に追い込まれた原爆投下に関する「しょうがない」発言への批判も痛手となった。

 総裁選での論功行賞人事が、こうした問題閣僚の起用につながったとして、安倍首相の任命責任を厳しく問う声もあった。だが、歴代、論功行賞人事のなかった政権はない。

 ◆政権を立て直せるか

 最大の争点となった年金や格差の問題は、いずれも過去の政権の“負の遺産”と言うべきものだ。必ずしも、政権発足後10か月の安倍首相に全責任を負わせることは出来まい。

 年金記録漏れは、長年の社会保険庁のずさんな実務処理によって生じた。適切な対応を怠ってきた歴代の内閣の責任が大きい。

 格差の拡大は、「失われた10年」の間、経済再建に有効な手を打てなかったことや、小泉前政権で、竹中平蔵・経済財政相が主導した極端な市場原理主義にも原因がある。

 安倍首相が、小泉政治の行き過ぎた面と一線を画していれば、小泉政治のマイナス面と同罪と見られることはなかっただろう。

 厳しい選挙結果にもかかわらず、安倍首相は、「新しい国づくりに責任を果たす」と繰り返し強調した。引き続き「戦後レジームからの脱却」を掲げ、憲法改正や教育再生に取り組む決意の表明である。

 それには、選挙の審判を重く受け止め、民主党との協調も模索しつつ、態勢の立て直しを図らねばならない。

(2007年7月30日読売新聞)



 分かりきっていることだが、両紙の論評は両極端だ。

 朝日新聞は民主党よりの発言が多く、安倍政権に対して厳しい。逆に読売新聞は自民党よりの発言が多く、民主党に対して多くの注文をつけている。

 だが共通する部分もある、国民の為の政治を期待している点では両紙共に共通しているのであろう。

 今度の選挙で国民は明らかにふざけるなと言う思いをぶつけて来たのであろう。昨日、自民党の幹事長も敗戦の弁の中にオウンゴールが多すぎたと述べていたが、まさにそうであろう。

 あまりにも多くの大臣や政府関係者の中に不用意な発言をする人が多く、品位にかける発言から耳を疑いたくなる発言が多く飛び出してきた。

 選挙戦に入ってからもそのような発言をする人が後を絶たず、選挙によっぽど勝ちたくないのだなとしか思えない人が多すぎた。

 国民の多くはこうした状況にうんざりしたと言う思いだったのであろう。

 民主党が良かったというより、自民党に対してもううんざりだ。と思う人が今回雪崩を打って民主党に投票したのであろう。

 混迷するであろう国会で今回、唯一、評価するべき事がこれから生まれてくるであろう。

 それは、国政調査権による透明性の確保がなされる事であろう。

 今回の領収書問題においても、これからは領収書を出せと言う事になれば、与党がこれを拒む事はできなくなるであろう。

 と同時に、民主党もこれから、きちっとした政策や運営が求められる。

 国民の負託を重く受け止め、それを裏切るような事があれば、今度は自分たちがその審判を受ける事になる。

 今回の選挙は国民の意思で政治を変えることが出来ることを感じる事ができる選挙だったと思う。

 与党も野党も国民の為の政治とは何なのかを肝に銘じておいて欲しい物だ。

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